臨床発達心理士の子どもの発達コラム~子どもの「やる気」はどこから生まれるのか~
こんにちは!臨床発達心理士の趙です。
秋も深まり、過ごしやすい季節になってきました。学校では行事や学習など、子どもたちがさまざまなことに取り組む時期ですね。
子どもの様子を見ていると、好きな遊びには夢中になるのに、宿題となると気が進まない、ということがあります。大人にも、好きなことはすぐ始められるのに、気の進まないことは後回しにしてしまう経験があるのではないでしょうか。
同じ子どもでも、取り組むことによって「やる気」はずいぶん違って見えます。そもそも、やる気とは何なのでしょうか。
今回は、子どもの「やる気」が生まれる仕組みについて、心理学の考え方を交えながら紹介したいと思います。
<「楽しいからやる」と「理由があるからやる」>
心理学では、何かをしようと思う気持ちや、その行動を続ける理由を「動機づけ」と呼びます。
例えば、絵を描くことが好きで、誰に言われなくても描き続ける子どもがいます。「楽しい」「もっと描きたい」という気持ちそのものが、行動の理由になっています。

一方で、「明日のテストでよい点を取りたいから勉強する」「約束したから片付ける」という場合もあります。こちらは、楽しさ以外に行動する理由があります。
心理学では、前者を「内発的動機づけ」、後者を「外発的動機づけ」と呼びます。どちらも、私たちが日々行動するうえで身近なものです。勉強も遊びも、いつも同じ理由で取り組んでいるわけではありません。
<「自分でやりたい」と感じること>
やる気を考えるうえで、「自分で選んだ」と感じられるかどうかも一つのポイントです。
例えば、同じ本を読む場合でも、「読まなければならない」と感じているときと、「続きが気になるから読みたい」と思っているときでは、気持ちが違います。
心理学には、人は自分で決めていると感じたり、少しずつできるようになったと実感したり、人とのつながりを感じたりすることで、意欲を持ちやすくなるという考え方があります。これを「自己決定理論」といいます。
難しい名前ですが、「自分で選べる」「できたと感じる」「安心して人と関われる」といった身近な経験が、やる気と関係しているということです。
<「できた!」という経験との関係>
初めて自転車に乗れたとき、難しかった問題が解けたとき、昨日より上手にできたとき。そんな経験のあとに、「もう一回やってみたい」と思ったことはないでしょうか。
人は、自分にもできそうだと感じることには取り組みやすくなります。反対に、何度挑戦してもうまくいかないと、「どうせできない」と感じることがあります。
ただし、やる気が出ない理由が、いつも失敗経験にあるわけではありません。疲れていたり、課題が難しすぎたり、そもそも興味が持てなかったりすることもあります。やる気は、その日の体調や置かれた状況によっても変わるものです。
<「やる気がない」と見えるとき>
宿題を始めない子どもを見て、「やる気がないのかな」と感じることがあります。けれども、外から見える行動だけでは、その理由まではわかりません。
問題の意味がわからないのかもしれませんし、何から始めればよいのかわからないのかもしれません。間違えることが気になって、手が止まっている場合もあります。
このように、「やる気」という一言の裏側には、興味、経験、気持ち、体調など、いろいろなものが関係しています。
やる気は「ある・ない」だけで決まるものではなく、活動や状況によって変化するもの。そう考えると、子どもが何かに夢中になる姿も、なかなか取りかかれない姿も、少し違って見えてくるかもしれません。
子どもの発達や成長には、さまざまな要因が関係しています。これからも、子どもたちの姿を多角的に捉え、一人ひとりの学びや成長を支えていきたいと思います。










