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臨床発達心理士の子どもの発達コラム 〜運動の秋!〜

体を動かすことは、“心”を動かすこと ― 発達支援としての運動の力

こんにちは!臨床発達心理士の趙です!

ようやく涼しくなってきましたね!

子どもたちも運動会や体育の授業、外遊びなどで体を動かす機会が増えてきました。

“体を動かすこと”には、単に運動能力を高める以上の意味があります。

それは、“心を動かす”ということ。運動は、子どもの心や発達に深く関わっているのです。


動くことで「できた!」を感じる

運動には、「自分の体を思い通りに動かす」という感覚的な喜びがあります。

跳ぶ・走る・投げる・バランスを取る。これらはどれも、自分の体をコントロールしながら目的を達成する活動です。

「うまくできた!」「さっきより速く走れた!」という達成体験は、子どもの心の中に小さな自信の種をまきます。

この「できた!」という実感は、学習意欲や対人関係にも広がっていきます。

なぜなら、子どもは「成功体験」を通して、自分の努力が成果につながることを学ぶからです。

それが「やってみよう」「もう一回!」という気持ちを生み、挑戦する心を育てていきます。


運動が「情緒」を整える

体を動かすことは、心の安定にも深く関わっています。

緊張したり不安を感じたりする時、体がこわばることがありますよね。

逆に、ゆったりと体を動かすことで、呼吸が整い、気持ちも落ち着いてくる。

これは、身体と心がつながっていることの表れです。

特に、感情のコントロールが難しい子どもや、切り替えが苦手な子どもにとって、

“体を使って発散する”ことはとても大切です。

ボールを蹴る、鬼ごっこで走る、縄跳びを続ける。

こうした動きの中で、エネルギーを「行動」に変換することができます。

さらに最近の研究では、運動が脳の神経伝達物質の働きを促し、

集中力や注意の持続にも良い影響を与えることがわかっています。

つまり、運動は心身のバランスを整える“自然なメンタルケア”でもあるのです。


脳と身体は、発達のなかで常に手を取り合う

「脳と身体は別々のもの」と思われがちですが、実際には密接に結びついています。

たとえば、バランスを取る・タイミングを合わせるといった動きは、

脳の中で「空間認知」「注意」「実行機能」といった領域と連動しています。

運動を通して体を調整する経験は、思考や学習の基盤にもつながっているのです。

発達に凸凹のある子どもたちの中には、体の使い方がうまくいかないために、

書く・読む・座るといった日常の学習動作にも困難を感じることがあります。

そんな時こそ、「運動あそび」を通して“からだの地図”を育てていくことが役立ちます。

たとえば、リズムに合わせて動く、模倣してポーズを取る、

バランスボールで弾む、平均台を渡る。

これらの遊びは、運動能力を鍛えるだけでなく、

身体感覚と脳のネットワークをつなぐトレーニングでもあります。


「楽しい」が、すべての原動力

発達支援の現場でもよく感じるのは、子どもは「楽しい」と感じた瞬間に、

ぐんと集中力や持続力を発揮するということです。

逆に、「やらされている」と感じると、体も心もすぐに硬くなります。

運動が苦手な子には、できないことより“できること”を見つける視点が大切です。

ボールを受けるのが難しければ、転がすところから始める。

走るのが苦手なら、音楽に合わせて体を揺らすだけでもOK。

「できた」「楽しかった」の積み重ねが、少しずつ自信を取り戻すきっかけになります。


心と体の育ちを、あたたかく見守って

まっすぐに走るのが得意な子もいれば、リズムに合わせて体を揺らすのが好きな子もいる。

一人ひとりの「好き」や「得意」を尊重しながら、

運動を“できる・できない”で評価するのではなく、“心が動いた瞬間”を大切に見つめたいですね。

体を動かすことは、心を動かすこと。

体育の秋に、そんなつながりを改めて感じる時間を持てたら素敵だと思います。

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